学校PUSHとは
PUSHプロジェクトでは、学校での心臓突然死ゼロを目標に掲げ、それをめざすために学校へPUSHコースを普及させることを活動の柱の一つにしています。
学校では、毎年50人程度の児童生徒が心停止となっていることがわかってきました。大阪市の高校3年生・前重 響さんは、2004年5月27日、1500メートルを走っていたところ突然倒れました。教員が心肺蘇生を行いましたが、救命することはできませんでした。AEDが一般の人も使えるようになったのは、響さんが亡くなってからわずか1か月後のことでした。
その後学校への心肺蘇生講習会の実施やAEDの普及が進みましたが、2011年9月、さいたま市の小学校で6年生の桐田明日香さんが駅伝の課外練習中に倒れました。倒れた直後に「けいれん」や「死戦期(しせんき)呼吸」と呼ばれるゆっくりとあえぐような呼吸があったために、教師らは心臓が止まっていると認識することができず、校内にあったAEDが使われることはありませんでした。この事故の反省をふまえ、さいたま市教育委員会はご遺族と共に『体育活動時等における事故対応テキスト:ASUKAモデル』を作成し、今学校現場に少しずつ普及してきています。
心臓突然死は、いつ、どこで、誰に起きてもおかしくありません。
その場に居合わせた人により心肺蘇生やAEDによる電気ショックが実施されると救命率が高くなります。心臓突然死から、児童・生徒・学生の命を守るために、教職員のみならず児童・生徒・学生自身が心肺蘇生やAEDの使い方を含む応急手当を身につけて安全な学校環境が構築されることを目指しています。心肺蘇生を学んだ児童・生徒・学生が、将来人が倒れた現場に遭遇した際、躊躇することなく応急手当を行うことで、救命率向上につながり、安心・安全な社会が実現することを期待しています。また、心肺蘇生を学ぶことで「いのち」の大事さ、人を思いやる気持ちも育みたいと考えています。
学校で起こる心停止の特徴
我が国の学校管理下で発生する小学生・中学生・高校生の心停止の現状を、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付データおよび、総務省消防庁の全国救急蘇生統計のデータを使って調査した結果です。
※詳細なデータをご覧になりたい方は以下をクリックしてください。
● 研究概要「我が国における学校の管理下で発生する児童・生徒の院外心停止」
学校では倒れた瞬間を目撃されている割合は70%、心肺蘇生が行われた割合は70%、AEDが使われた割合は40%でした。その結果、脳にダメージを残さずに学校生活に戻れた割合は40%でした。学校で救命教育を普及させ、AEDの設置を含めた危機管理体制を整備することで、学校で発生する心停止からの救命率をさらに向上させることが期待できます。
学校PUSHの活動目標
- 学校教育に実践的な救命教育(心肺蘇生やAEDの使用方法など)を導入する
- 学校の先生が自ら救命教育を行える環境作りをサポートする
- 小学校から、心肺蘇生やAEDの使い方を繰り返し学べる学習環境を整える
- 実践的な教育を行うことで心停止に遭遇した際、何らかの行動を起こせる人材を育てる
学校PUSHの主な活動
(1) 教育機関でのPUSHコースの開催(出張講習)
※当協会のインストラクターによるPUSHコース(出張講習)をご希望の場合は、以下をクリックしてください
● 大阪ライフサポート協会「出張での講習について」
(2) 学校教員による救命教育実践のサポート(学校PUSHモデル校への支援)
学校の授業時間枠を使って自らPUSHコースを開催し、児童・生徒・学生に対して継続的に救命教育を行いたいと考えておられる学校を支援するプログラムです。先生方に対して、PUSHコースの開催方法のノウハウを伝え、あっぱくん®を学校に寄贈するものです。当協会では、これまで累計48校の学校を支援してきました。
学校PUSHモデル校は大阪近郊の学校を対象としています。希望される先生方は、以下、募集要項をあらかじめご一読の上、エクセル形式の申込用紙をダウンロードいただき、必要事項を記載し、お申し込みください。
ご不明な点があれば、事前に「お問い合わせフォーム」よりお問い合わせください。
● 「学校PUSHモデル校 募集要項」
● 「学校PUSHモデル校 申請書」
(3) 救命教育に関する情報の提供
心停止の予防、心肺蘇生ガイドライン改訂のポイント、学校で起こる心停止の特徴など、児童・生徒・学生の「いのち」を守るために役立つ情報をまとめた「PUSH通信」を発信しています。
学校でのPUSHコースを覗いてみよう!
「百聞は一見に如かず」。学校で行われているPUSHコースの様子をみてみよう!
↑画像をクリックすると、PDFファイルでもご覧いただけます↑
PUSHコースを受けた感想
PUSHコースを受けた児童・生徒・学生の声を聴いてみましょう。
教員の声も一緒に聴いてみませんか?
児童・生徒・学生の声 ≪小学生≫ ・自分がどこかの人の命を守る方法を教えてもらってうれしかった。ぼくの友達や家族や地域の人が倒れても助けることができると思い、もっと知りたいと思った。 ・町や駅でよく見ていて「何に使う道具だろう?」と思っていたけど、授業を聞いてわかりました。ありがとうございました。 ≪中学生≫ ・知らなかったことを知れてよかった。人が倒れたりしたら絶対に助けようと思った。 ・ビデオを見ながらだったので、わかりやすかった。もし誰かが倒れていたらこれからは積極的に自分ができることを探したい。 ・今まで自分には関係ないと思っていたけど、同年代の人たちが亡くなっているのを聞いて驚いた。また自分でも命を救えると聞いて、できることをやってみようという気になった。 ・最初のメッセージビデオで自分と同じくらいの年の人がなくなっていることに驚いた。しかし自分たちが心肺蘇生をすれば確率が上がると聞き、方法を教えてもらったので、今後に生かしたいと思う。 ・心臓マッサージは結構、力がいるんだなと思いました。もし万が一目の前で人が倒れたら、知らないふりをするのではなくて積極的にしようと思った。 ≪高校生≫ ・AEDの使うタイミングを誤ったら人が死んでしまうと思っていたのですが、電気ショックを流すかどうか自動で考えてくれるということがわかって安心しました。 ・AEDの使い方がわからなかったら助けられないと思っていたけど、これからは倒れている人がいたら、勇気を出して助けようと思いました。 |
教員の声 ・学生さんたちも最初は表情が硬かったようでしたが、実習に入るにつれて、熱心な顔で、でも、和気藹々と取り組んでいたのが印象的であった。 ・教員にとっても、必要な講習ではないかと思った。 ・学生以上にこちらが動機付けされた。救える命は救わないといけないと強く思った。 |
教員自らがPUSHコースを実施する際のヒントと苦労話(先人に学ぼう!)
PUSHコースに興味が湧いてきましたか? でも、もう少し具体的なことも聞いてみたい。
そんな要望にお応えしてよくある質問をまとめてみました。
皆さんも是非、自ら学校でPUSHコースを開催してみませんか。
- なぜ、自らPUSHコースを学校で行おうと思われたのかその理由を教えてください。
- 生徒を心臓突然死で亡くされたことをきっかけに、学校で救命教育(PUSHコース)に取り組んでおられる先生に出会ったのがきっかけです。亡くなった生徒さんが生きていた証である命の授業に対する先生の思い、同じことで命を落とさずにすむ世の中になってほしいという保護者の方の思いに心を動かされ本校でも実施しようと思いました。
- 学校で行う際に苦労した点とその解決法を教えてください。
- 初年度は保健体育の授業のカリキュラムが決まっていたことと、医療の資格のない自分たちに教えられるのか?という不安がありました。保健体育で取り組みやすい時期を調整し取り組むことにしました。自分たちに教えられるかという不安はPUSHコースの授業展開を一度見せてもらうことで、授業の必要性と良さを理解することができました。一から心肺蘇生を教えるとなるとハードルが高いですが、DVD教材を使うと簡単に教えることができると実感でき、年1回授業時間を確保して取り組んでいます。
- 児童・生徒に実際に教えてみた感想を教えてください。
- 授業を受けた生徒たちからは「みんなが心肺蘇生を知っていたら良いと思う」「命を救うと思うと気が重いが、最善を尽くすと考えると少し楽な気がする」「今日のような講習を受けれて良かった」といった感想を寄せてくれています。「PUSHコース」を通じて、心肺蘇生というスキルだけではなく、同世代でも突然亡くなる命があること、助けようとする命の重み、自分にもできることがあると感じてくれているので、この授業を大切にしていきたいと思っています。
- 自分でもやってみたいと思うのですが自信がありません。どのように指導できるようになられたのか教えてください。
- PUSHプロジェクトよりインストラクターの方に学校に来て頂き、PUSHコースの開き方について説明してもらいました。授業を重ねる度に、自分の経験を語ったり、アドリブを取り入れたりするなど授業を展開できるようになりました。また最後のシナリオを見た後で、生徒に前に出てきてもらい、デモンストレーションをしてもらうなど、学校オリジナルの工夫を加えながら楽しく実施しています。
- どのように指導時間を確保されているか教えてください。
- 中学2年生を対象に、保健体育の時間を使って実施しています。2年生は3年生引退後、クラブ活動で中心的な役割を担っていくので、クラブ活動中に心停止が起こった際には救命活動に協力してくれることを期待しています。
児童・生徒・学生にPUSHコースを行う際に役に立つ資料
児童・生徒・学生に対してPUSHコースを開くために、参考になるような資料とそれらのリンクをまとめました。ご自由にお使いください。
【子どもを対象とした救命教育における留意点】
子どもたち、特に小学生以下の子どもに指導するにあたっては、実際の心停止に遭遇した際に、子どもたちを守ることができる体制の整備、周囲の大人の理解も欠かせません。PUSHプロジェクトでは、学校での救命教育導入を推し進めると同時に、子どもたちを守る教育内容の提案も行っていきます。留意点をまとめた詳細な内容は以下ををご覧ください。
● 「PUSH プロジェクトが考える子どもを対象とした心肺蘇生教育における留意点」
【PUSHプロジェクトが考える子どもを対象とした救命教育における留意点】
(1) 子どもの発達段階に応じた指導内容とすること
(2)指導する際には、実際の救命現場に遭遇した時に、子どもが受ける可能性のあるストレスに配慮した内容であること
役に立つ資料リンク集
-
HOME
-
PUSHコース
-
PUSHコースを開こう
-
認定インストラクター
-
学校PUSH
-
団体ページ