消防では、先ごろ総務省消防庁が平成17年・18年中のウツタインデータをホームページで公表して全国の蘇生率や都道府県別の生存率を発表している。 大阪にあっては、全国に先立ってウツタイン様式を取り入れており、この度、過去の膨大な蓄積された大阪版データが公表されることになりました。 このデータにより救急救命士による処置等が、傷病者の転帰にどのような影響を与えたかということの調査・分析や地域間の比較が客観的に行われ、その問題点を具体的に抽出していくことが、現状の大阪が抱えている救急医療システムの問題点を改善し強化していくことに繋がり、その結果、救命率がさらに向上することになると期待しています。 さらに今後、本データの分析結果を元にした救急隊活動へのフィードバックや各消防本部での救急業務への反映、住民への広報等に当データが活用されていくことにおいても期待しています。
[ 救急救命士に関する行政の動き ]
平成3(1991)年4月に救急救命士法が制定され、医師の具体的な指示がある場合に限り、「電気的除細動・器具を用いた気道確保・輸液」を行うことができるようになり、これらの3つは「特定行為」と呼ばれている。この行為を行うには医師の具体的指示が必要であり心肺機能停止の状態にある傷病者に対し診療の補助行為としてのみ実施することが認められた。
平成15(2003)年4月救急救命士による電気的除細動については、医師の包括的指示下で使用、すなわち医師の具体的な指示なしの使用が認められた。
平成16(2004)年7月救急救命士の気管挿管については、気管挿管に関する所定の講習及び全身麻酔の患者を対象とした気管挿管を30症例以上病院実習で修了した救急救命士は、医師の具体的指示を受けることにより気管挿管を実施することが認められた。
平成18(2006)年4月薬剤投与に関する所定の講習及び実習を修了した救急救命士は、医師の具体的指示を受けることにより薬剤投与を実施することが認められた。
[ 応急手当に関する社会の動き ]
平成16(2004)年7月「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」心停止に陥った人のそばに偶然居あわせた一般市民が医師の指示を受けることなく近くに設置されているAEDを用いて心肺蘇生を行うことが可能になった。
吹田市消防本部 警防司令室 救急救助課課長代理 河 野 健 二