ウツタイン大阪プロジェクトで得られた知見(トピック)
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ウツタイン大阪プロジェクトで得られた基礎的データ

救急システムの変遷

 心停止からの救命処置は時間との戦いといっても過言ではありません。心停止となってしまった方を救命するには、素早い119番通報、心肺蘇生、電気ショック、専門家による高度な医療処置の4つが組み合わさることが重要だと言われています(救命の連鎖)。これらの時間を客観的に評価し、短縮するためにどのような課題があるのかを検討し、解決することが心停止からの救命率の向上につながります。
  表を見ると、救急要請してから電気ショックが行われるまでの時間が大幅に短縮されていることがわかります。これは、救急隊の努力、システムの改善によって救急隊による電気ショックが素早く行われるようになったためです。それでも、119番通報から9分かかっており、更に早く電気ショックを行うために、今後は、現場に居合わせた市民がAEDを用いて電気ショックを行う体制の整備が必要です。また、そばに居合わせた人によって心肺蘇生が行われる割合も上昇してきていますが、まだ半分にも及んでいません。
ウツタイン大阪プロジェクトでは、このように、救命処置の時間経過と救命率を照らし合わせて、何が救命率の向上に関与しているかなどを検討し、課題を抽出していくことで、地域の救急システムの改善、心停止となった方の救命率向上に結びけることを目標としています。

 用語説明
  虚脱〜119番:傷病者が倒れた時刻から救急要請された時刻
  119番〜救急隊によるCPR:救急要請された時刻から救急隊が傷病者に接触し、心肺蘇生を開始した時刻
  119番〜救急隊による電気ショック:救急要請された時刻から救急隊が電気ショックを行った時刻
  119番〜病院到着:救急要請された時刻から病院に着いた時刻
  バイスタンダーCPRの割合:現場に向かう救急隊、消防隊以外の者によって心肺蘇生が試みられた割合。通常は目撃者がバイスタンダーとなる。

  1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
虚脱~
119番
3分 3分 3分 3分 3分 3分 3分 3分 2分 2分 3分 2分
119~CPR 7分 7分 7分 7分 7分 7分 7分 8分 7分 7分 7分 8分
119~
電気ショック
17分 14分 14分 13分 12分 10分 9分 9分 9分 8分 9分 8分
119~
病院到着
22分 23分 23分 23分 23分 25分 25分 25分 26分 27分 28分 28分
時間は中央値を示しています。
そばに居合わせた人によって心肺蘇生が行われる割合(%)